第4章 戸惑いと、嬉しさと
トランクスさんから借りたジャケットの匂いをかぐなんて!
彼は私の体が見たくなくて貸してくれたのよ!浮かれるな私!と喝を入れる。
しかし…外の香りと柔軟剤の混ざったとてもいい匂いがした…
思い出してニヤニヤしてしまう自分をなだめながらも、の足取りは先程とは違って軽くなっていたのだった―。
一足先にリビングに着いていたトランクスは、ブルマに問いつめる。
「母さん。一体どういうつもりですか!」
少し怒ったような口調の息子に、あらなによ、と自分がしたことをわかっていない様子で聞き返した。
「とぼけないでください!なんですか彼女のあの服は…もう少しマシなのがあったでしょう!?」
とテンパるトランクスを見ながらブルマは待ってましたと言わんばかりに
「あら〜、トランクスもしかしてちゃんのこと意識しちゃった!?」
隅に置けないわねえ、としたり顔のブルマ。
「からかわないでください!」
「そんな赤くなった顔で言われてもねえ…アンタ、気づいてないかもしれないけどすごく顔、赤いわよ?」
「なっ…!?」
ますます赤くなるトランクス。さらに追い打ちをかけるブルマに、トランクスはもう何を言っても無駄だと悟ったのか、
「…分かりました、オレをからかうのは百歩譲って良しとしましょう。ですが彼女に迷惑をかけるのはやめてください。」
と諦めたように言った。
「分かったわよ…でもトランクス、あなたさっきから彼女彼女って、名前のひとつも呼べないわけ?」
ブルマは自分の息子がそこまで不甲斐なかったかと呆れて言った。
トランクスは自覚があったのか、うっと言葉に詰まってしまった。
「はあ…いい?これからちゃんとは長い付き合いになるかもしれないのよ。いつ帰れるのか分からないわけだし。そんな調子じゃ先が思いやられるわ。」
ブルマとしても、トランクスにやっと出来た同年代の友達である。もっと気軽に話せる仲になって欲しいし、あわよくばその先の関係も…などと考えていたわけでただ単にからかっている訳ではなかったのだ。
もっとも、トランクスはそんな事知る由もないが…
トランクスはもうこの話題はやめよう。自分が言い負かされて終わるたけだと気づいたのか、
分かりました、頑張りますと一言だけ残し、キッチンの方へと足を運んだ。