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【R18ヒプマイ】だからと言ってこれはない

第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!




「あ?」

誰もいないと思って力任せに叫んだら
ぶりっ子極まりない声がして虚ろな目で
振り向く。

私は夢でも見ているんだろうか。
元The DirtyDawgの…今はFling Posseだっけ?
あー、ほら、前に幻太郎が加入したっていう
それ、のリーダー…って話の…飴村乱数だ。

私でも知ってるくらい超有名人の。
男の癖に世渡り上手でめちゃくちゃ
「オネーさん」達に可愛がられてると噂の
あの、飴村乱数だ。
なんでシブヤの有名人がシンジュクに?



「どうしたの?固まっちゃって」

「……」

「オネーさん?」

乱数がキャンディ片手に私の顔を覗き込む。
あ、これヤバい。
叫んだらまたなんか吐きたく……うっ。

「……吐きそう」

「…!?」

ザッと乱数が後ずさって私から距離をとる。
私は抑えきることが出来ずに文字通り
『腹の中のものを全部ぶちまけた』。

「うへぇ…」

ぴくぴくと眉尻をあげる乱数の顔が見える。
いくら立場が弱いとされる男相手とはいえ
シブヤで知らないものはいないって言われてる
超有名人の目の前で吐いちゃったよ私…。



「だ、大丈夫?」

とかいってドン引きしてるのが薄らと伝わってくる。
そりゃそうだよ。
目の前で吐かれたんだもん。


「大丈夫…吐いたらスッキリした」

「あ、はは…オネーさんだいぶ酔ってたんだね?
嫌なことでもあった?僕が慰めてあげよっか」

そう言って乱数は舐めていない方の新しい
棒付きキャンディーをくれる。
吐いたあと直ぐに舐める気にはなれなかったけどレモン色の包装紙が綺麗でつい受け取った。

それから流れるように
『じゃあ愚痴相手になってよ』
なんて言ってしまい気付けば私達は
公園のベンチに腰掛けていた。


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