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【R18ヒプマイ】だからと言ってこれはない

第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!





「はぁ…」

先程までの怒りも何もかも全部酔いが
包み込んでしまったのか。
代わりに口から出たのはため息だった。

足元がおぼつかないまま、とにかくどこかに
行かなきゃ行けない気がしてフラフラと
歩き進む。

あー、頭痛い…。
これ飲み過ぎたかな…。

『吐きそう』


1度そう思ってしまえばそれまで感じなかった
気持ち悪さと腹の底から込み上げる嘔吐感が
一層気分を悪くする。

近くの電柱に倒れ込むように手を付き
頭を下げて足元に視線を向けた。
黒いピンヒールを履いた足が震えている。
少しでも楽な体勢になろうと
膝を折ってしゃがみこむと
さらに地面と距離が近くなる。

あ、よく見たらストッキング伝染してるし。
最悪。


「うー……吐けそうなのに吐けない…」


この中途半端な感じがモヤモヤして
余計に気持ち悪くなってムカついてくる。

クソっ、クソ!男なんてマジでクソ!
幻太郎のアホ!バカ!嘘つき!
締切間近の原稿に墨汁こぼせ!

なんで吐けないの…、吐きたいのに
全部吐き出して楽になりたいのに。

スッキリしたいのに!

「あー……!死ね!!!みんな死ね!!!!」

「みんな死ねだなんてぇオネーさんこわぁい」


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