第5章 俺っちはそんなの認めないから!
「…それにしても僕が女の子のこと怖いって話…誰から聞いたの?独歩くんかな」
「まあ、昔ね。」
「…昔から仲が良かったって?」
えっ…何この嫌な感じ…。
さっきのと、いい…ほんとに気の所為よね?
こういう時なんて答えたら正解なのか…。
「うーん、入社してからの付き合いだから
そんなにでもないよ、一二三は小学校の頃からの付き合いなんだよね?」
「…………そうだね、そこまで知ってるんだ」
「一二三のことは独歩から色々聞いてたから
アイツ、すごく楽しそうに話すんだもん」
よっぽど一二三のことが好きなんだね、そう言うと一二三の顔が心做しか赤く染まる。
嬉し…いのだろうか。
口元を手で覆って顔を背けられる。
「っ…独歩くんは、親友だから…」
そう言った一二三の声は何故かほんの少しだけ泣きそうに聞こえた。
が、そうしているうちに寂雷の家に到着する。
あれ?途中までってはずじゃ…いつの間に一緒にここまで着いてきてしまった…というか買い物まで…うわぁ…なんか色々申し訳なく…。
いやいや、私は女で一二三は男。
このくらい普通…普通なはずだ。
家でも学校でもそう教えられてきたんだし。
……でもお礼くらいは言っておくか。
「…えっと、じゃあ私はこれで
なんか…送ってくれたみたいで…ありがとう
おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
一二三は笑って手を振る。
……目の下が腫れているように見えたのは
見なかったことにしてあげよう。