第5章 俺っちはそんなの認めないから!
泣く泣く1万円札を握りしめ、私は外に出る。
コンビニでいいよね?
というかこれは1万円分酒買ってこいってことかしら。
道順が分からないのでGoogleマップを頼りに
コンビニを目指して歩いていく。
なんで私がこんなパシリみたいな……………。
「はぁ……あっ、ごめんなさっ…」
溜息をつきかけたところ誰かにぶつかってしまい、私は慌てて顔を上げる。
完全に歩きスマホなんてしてた私の失態…って
あれ?この人って…。
「大丈夫?怪我はない…?」
やっぱり、伊弉冉一二三だ。
前独歩の家の玄関で見た時とは印象が違うけど
こんなイケメンそうそういないし。
というか高そうなスーツ着てるなぁ。
クリーニング仕立てなんだろうか。
ピシッとしててカッコイイ。
「う、うん…大丈夫」
「あれ、君確か独歩くんの…
葉室有栖ちゃん、だったよね?」
「うん、私のこと知っててくれたのね
あなたは伊弉冉一二三…よね?
こんなとこで会うなんてほんと奇遇…」
「ハハッ、独歩くんがよく君の話してたから」
そ、そうだったんだ……。