第5章 俺っちはそんなの認めないから!
「酒がぁ!足りねぇぞ!」
「いや、もう、ほんと勘弁して」
どうしてこんなことになったんだろう。
寂雷の家に案内してもらって、部屋も貸してくれて、あまりの聖人ぶりに好感度が爆上げした結果。親睦を深めようと一緒に酒を交わした。
ただ、それだけのことなのだ。
それなのに…
こんなに酒癖悪いとか聞いてないっ!
「あー?もうないってのかあ?」
「ない。ないです。今日はこれでおしまい
さ、寝よ、ね?てか寝て」
ずいっと迫ってくる寂雷の肩を押し退けようと
踏ん張りながら私は言う。
190超えた巨体がこんな近くにこられると
威圧感がやばい。
「ったく……」
酒がないとわかると寂雷は溜息をつきながら
頭をボリボリとかいて私から離れる。
はー、よかった。とって食われるかと思った。
「ほれ」
「ん?」
安心して胸をなで下ろしていると目の前に
1万円札が差し出される。
「これで買ってこいよ」
「え???」
ちょっ、この期に及んでまだ飲む気!?
いくら恩人とはいえ流石にこれ以上は止めないと色々と不味いんじゃ……。
そう思い、断ろうと顔をあげる、が……。
「買ってこれるよなぁ?」
「は、はひっ……」
や、やっぱり無理!
なんかよくわからないけど
逆らえないってこんなの!
「よぉし、10分以内に買ってこい」
「じゅ!?私この辺り初めてで
流石にそ、それは無理…」
「あ?」
「5分以内に買ってきます!!!!」
もぉやだ!!!!!!!