第5章 俺っちはそんなの認めないから!
「もうわかった、わかったから
バイバイ、また明日会社で、ね、
はい行きましょ寂雷さん」
もうこんなうるさいのと居たくない一心で
私は独歩に手を振り寂雷の腕を掴む。
「それじゃあ、何かあったら連絡するよ」
「は、はい!よろしくお願い致します」
ハゲ課長にもこんなに頭下げないぞってくらい
ペコペコしてる独歩を見ると、寂雷って何者なんだって気になるな…。
分かってるのはThe Dirty Dawgの元メンバーってことくらいだ。
無花果姉さんったら私のこと子供扱いして
情報見せてくれないんだもん。
「おまたせ、行こうか」
と、独歩と話を終えた寂雷が私に声をかける。
そろそろ行かなくちゃ…。
けれど一瞬、後ろ髪を何かに引かれたかと
振り返りそうになる。
ここには独歩と寂雷しかいないし。
後ろに誰もいるわけない。
私が気にし過ぎなだけなんだ。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
なんて、気のせいだと自分で自分を納得させて
気付かなかった。
彼がずっとこちらを見ていたことに。