第5章 俺っちはそんなの認めないから!
裏声を使って会社の女の子達の真似をすれば
独歩はショックを受けたようでサーッと
青ざめる。ほんとわかりやすいやつ。
「まあ
ご迷惑おかけすることになるけど
給料日までの辛抱なんで、よろしく」
横でブツブツ言ってる独歩は放って
寂雷に握手を求める。
ほんっとにでかいわね。首疲れるのよ、縮め。
「うん、よろしくね
ああでも、私もこれから先仕事が忙しくなると思うから明日には知人の家に移ってもらうことになるけど、いいかな?」
「1日宿が確保できるだけありがたいわ」
「タライ回しみたいになってすまないね」
「ぜーんぜん、あっ…でもシブヤは嫌よ」
幻太郎がいるしね。
今はもう怒りは収まったけど
もやもやしたままだ。
あいつの事は今でも好き。
嫌いになんてなれない。
でも好きだからこそこんな気持ちで
そばにいたくないの。
「じゃあ、行こうか
独歩くん、一二三くんによろしくね」
そう言って寂雷は私の手を優しく取って
エスコートしてくれる。
何この紳士。完成されすぎじゃない?
造形美かよ。
「全部俺のせい俺のせい俺の…はっ、はい!
よろしくお願いします!一二三にもちゃんと言っておきますので!有栖、お前も先生に迷惑だけはかけるんじゃないぞ」
「アンタは私の父親か」
「有栖」
「…わかってるわよ」
寂雷と居る時の独歩…
お父さんみたいで苦手かも。