第4章 選べるわけないじゃないですか
話すべきかどうか迷いましたが
やめることにしました。
今はまだ言う時じゃない。
彼女を不必要に怖がらせたくはなかった。
あの子は優しいけど無謀だから
きっと小生の代わりに犯人を探して
殴り込みにいくだろう。
そんなことをして…危険な目にあったら
彼女も彼と同じ道を辿ったら
今度こそ小生は壊れてしまう。
言うなれば怖かったんです。
だから、このことは小生が1人で解決しようと、それで全て片付いたら事情を話そう。
そうしようとしたんです。
今思えば馬鹿な考えだったと思います。
普通に婚約の延期を申し出ればよかったものを
焦りと不安に押し潰されて
嬉しそうに式場の見積もりを相談しようと
雑誌を広げる彼女に
「嘘ですよ」
なんて…口走ってしまったのだから。