第4章 選べるわけないじゃないですか
それから小生達は抱き合ったまま
キスを交わし続け
熱い夜を共にしました。
小生の腕の中で善がる有栖は
今までにないほど綺麗で、もうすぐ小生の妻になるのだと思うと
感慨深いものさえありました。
何度も愛を囁いて、幾度となく愛しい女性を抱く。
これ以上の幸せが他にあるでしょうか。
「…好きですよ」
「もう、それ何回目…?」
事が終わり、彼女の髪を撫でながら囁くと
有栖はふぅ、と息をついて笑いました。
「さあ…、何度言っても足りないんですよ」
「私も好きよ」
少し照れくさそうに言うと
有栖は小生の頬に唇を落としました。
***―
あのプロポーズから2週間
話し合いの末、籍を入れるのは3ヶ月先になりました。
式もそれと近い時期に挙げる様にしました。
結婚後も有栖は仕事を続ける
つもりでいるそうです。
それでも子供が出来たらその後どうするかは
後で考えると言っていました。
小生の為にいいお嫁さんになりたいと花嫁修業を
隠れてしていたことも知っています。
小生はそれが嬉しかった。
つい浮かれて乱数に有栖の話を
したりもしましたね。
普段はこんなことしないんですけど
2人で撮った写真を自慢したり。
帝統にランチを奢ったりと周りから
とにかく機嫌が良いと言われていた時期でした。
あの頃は浮き足立って見るものすべてが
輝いて見えてたんです。
そうだ、この事を友にも伝えよう。
彼ならきっと喜んでくれるに違いない。
そう思い立ち小生はいつもの様に
青年がいる病院に足を運びました。