第3章 だからって俺を巻き込まないで
side飴村乱数
観音坂独歩が彼女の手を取り、2人が出ていった店内で
気まずい空気が流れる。
うーん、ヤキモチ妬かせて仲直り作戦失敗かぁ。
まあわざとなんだけどさ。
だってあのまま綺麗に片付くなんて
僕面白くないんだもん★
…こんな結果になるのは予想してなかったけどね。
「なんだよあの女、自分勝手だなー」
そう言ってあの子が置いていったオレンジジュースを
飲みながら帝統がぼやく。
うーん、帝統も中々だと思うけどね。
ちらっ…と幻太郎の方に目をやると
案の定固まったまま、観音坂独歩と有栖が出ていった店の出入口を向きっぱなしだった。
「あはっ、幻太郎〜
元気だして?ねっ!」
僕はわざと明るい声を作って後ろから抱きつく。
こういう時幻太郎は「うっとおしいので近寄らないでください」なんて言うんだけど今回は違った。
「……」
「あれ?幻太郎?」
そんな言葉は一向に待っても投げかけてこなく
不思議に思って顔を覗き込めば流石の僕も
目を見張る。
幻太郎、泣いてた。
「えっ?ちょっと…そ、そんな泣く程?」
「っ…ぅ…有栖に嫌われっ…俺はただ…なんで…」
「うぇええっ、泣かないでよ幻太郎〜!
ほら、座って座って、落ち着こ?
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「幻太郎に何を産ませる気だよ」
「あいたっ」