第3章 だからって俺を巻き込まないで
「有栖…」
「あ!リーマン!」
帝統が独歩を驚いたように指す。
ああ…知ってたのね。
まあラップバトルとやらで麻天狼とFling Posseは
戦ったって言うし、知ってて当然か。
私はその日風邪で寝込んでたから
チーム名は知ってても個人までは知らなかったけど。
「どうしてあなたがここに…?」
「いや、俺は…ただ」
「数時間前まで私と会ってたの
でも幻太郎がそれに口出しする義理はないわ
それと独歩」
「…え?なに…」
「告白の返事だけど、受けていいわ」
私がそう言った途端
空気が凍り付いたような気がした。
「あちゃー……」
と、乱数の気まずそうな声が聞こえる。
帝統に至っては目を逸らしていた。
幻太郎なんかは固まって動かない。
独歩は私とFling Posseのメンバーを
交互に見て冷や汗を掻いている。
私も自分が何を言ったのか自分で理解してなくて
ただ自分がすごく腹を立てていたことだけは
よくわかっていた。
どうしてこんなに腹が立つのかはわからないけど。
「よ、よろしく…お願いします?」
戸惑いながらもそう言って独歩が私の手を取った。