第3章 だからって俺を巻き込まないで
「…そうだよ」
「え?」
マジ?マジで言ってる?
えぇ…どうしよう……。
私は独歩のこと1度もそういう目で見たこと無かったし
独歩もそうだと思ってたのに…。
正直驚いた。
これは…なんて言ったらいいんだろう。
迷ってると独歩の手が私から離れていく。
「返事は、いつでもいいから」
「…わかった」
気付いたら不安も消え去っていて
幻太郎との約束の時間が近付いていた。
***
先程のカフェで独歩と別れ
私は再び待ち合わせ場所であるハチ公前に行く。
まだ11時半の平日だって言うのに
幻太郎はもう来ていた。
「…早いわね」
「そういう有栖だって」
ニコリ、と笑う彼は私が普段知ってる彼と
なんら変わらない。
いつも通り、本当にいつも通りだった。
私は思ってしまう。
幻太郎は本当に嘘が上手いのだと。
「有栖、小生お昼にしたいです
そこのカフェでお茶しませんか?」
と、幻太郎が指したのは
さっきまで私と独歩がいたお店。
それも独歩はまだあの店に居たはずだ。