第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!
「そう、アイツ極端に女にビビるから
有栖のことは泊めてやれない」
「じゃあ私はどこで寝ればいいのよ」
「そんなの自分で何とかするしかないだろ」
自分でなんとかって……女友達頼るにしても
彼氏と同棲してたり既婚してたりで
「突然ごめんねー、同棲してた彼氏と別れたから今晩泊めてー」なんて言えるわけない。
だから男友達で唯一押しに弱そ…じゃなくて
頼れそうな独歩のところに来たってのに。
一二三だなんて女性恐怖症の癖に
ホストやってる野郎のせいで…。
「わかったわよ、帰ればいいんでしょ
帰れば 会社で椅子並べて寝てやるわよ」
「ぐっ…普段の俺を思い出すからやめて…」
嫌味のつもりで言った言葉が見事
突き刺さったらしく独歩は苦しそうに
胸を抑える。
納期がピークの時は家へ帰れないって
前に言ってたけど、あれはホントだったんだ。
「…じゃあまた明日」
「うん…また明日
一二三が帰ってくる前にとっとと帰って」