第3章 だからって俺を巻き込まないで
とりあえず近くのカフェに寄って朝食とする。
山田家から出る時ちょっと寝坊して
朝ごはん食べなかったのよね。
独歩は朝に鮭焼いて食べたって言うけど
私はお腹が空いてるので付き合ってもらう。
「それだけでいいの?」
「うん、とりあえずこれだけ」
コーヒーを飲みながら独歩が私の朝食について
「少な過ぎないか?」と言ってくる。
そんなこと言われてもいまは
給料日前で金欠だし、節約しなきゃね。
「レタスがシャキシャキしてて美味しー」
リピ確定ね。
「…それはよかったですネ
まさか、朝食を食べるためだけに呼び出したとか
…ないよな?」
「まっさかぁ、朝から独歩の陰気な顔みて
朝食なんてわざわざしないわよ」
「うっ…お前は一言余計なんだっ」
おっと、これは失礼したな。
私の悪いくせだ。
「まあ…昨日も言った通り幻太郎に会うのが
不安になってさ…、本当は私は今でもあいつのこと
好きだけど、あいつにとって今まで過ごしてきた
日々全てが嘘なんじゃないかって…怖くて…でも独歩が傍にいれば大丈夫かな…って、ごめんね」
カチャ、とフォークが皿にぶつかって音を立てる。
そうよ、私は今でもあいつが好きよ。
意識してないとすぐあいつのこと考えちゃう。
なんでもあいつに結びつけちゃう。
それだけ長い時間2人で過ごしてきた。
嬉しいことも、辛いことも
その全てを2人で共有してきた。