第2章 年下のくせに生意気なのよ
「そうですか……」
んー、妙に癇に障るわ。
パッと見好青年というか、かわいい系だけど
どことなくひねくれてるように見えるわ。
少なくとも今まで私に見せた顔は素じゃない
ことは確か。
と言うより、二郎への対応の方が
素に近いように見える。
上二人は良くも悪くも真っ直ぐな印象なのに
どこをどう踏み違えたのかしら。
ふと、一郎が上からボートを覗き込む。
「今からやるのか?
風呂とか飯とか終わってからじゃダメなのか?」
「大丈夫ですいち兄、夕飯は済ませました
それより二郎を風呂に入らせてください
このままだと家中粉塗れに
なっちゃいますから」
うーん、これは素と言えるのか言えないのか。
対一郎専用の顔ってやつだろうな。
「あ、ああそうだな
二郎風呂入ってこい」
「う、ううんっ
あ、兄ちゃんの分の夕飯冷蔵庫に
作り置き入れてあるからチンして食べてね!」
えっ、この兄弟って料理するの!?
コンビニ弁当で済ませてるかと思った…。
流石に失礼か…。
小麦粉を床に撒き散らしながら二郎は
風呂場に駆けてゆく。
あーあ、掃除大変そう…。
「三郎、台所片付けたか?」
「あ、棚から崩れたものは元に戻したんですが床に零れた小麦粉が中々落ちなくて…」
「ん、そうか
じゃあ俺がやっとくから三郎はオセロで
遊んでもらえ」
な?と、歯を見せて笑う一郎が三郎の
頭を撫でる。
撫でられた三郎は恥ずかしそうにしていたけど
それ以上に嬉しそうに見えた。
兄弟っていいなぁ。