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【R18ヒプマイ】だからと言ってこれはない

第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!





「くっ…この!」

バキッ!

勢いのある音がしたかと思えば三郎の左頬が真っ赤に腫れ上がる。

おい今こいつ弟をグーで殴りやがったぞ。

「なっ…にすんだよ!」

「うるせぇ!人を馬鹿にしやがって!」

「自業自得だろ!」

そう言い合い2人は対峙する。

そして2人が取り出したのはハンドマイク。
そう、ハンドマイクだ。

別に歌ったりはしない。殴り合いだ。
しかも言葉の殴り合い。
つまりラップバトルだ……。
武力が無力化された今、唯一と言っていほどの
喧嘩の手段。

ラップだろうが殴り合いだろうが
客人の前で兄弟喧嘩なんて冗談じゃない。

ここは私が大人として止めなくては。

と、1歩踏み出そうとした時だった。


「ただいまぁー」

ガチャリ、と玄関のドアが開いたかと思えば
疲れ切った声が聞こえる。
どうやらオニイサマがおかえりのようだ。

「兄ちゃん!」

「いち兄!」

先程までの空気はなんだったのか、
2人は長兄の帰りを悟ると飼い主を待っていた
犬のように玄関に走り出す。
わーい、犬の耳と尻尾の幻覚が見えるぞーい。


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