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【R18ヒプマイ】だからと言ってこれはない

第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!





「…そうだけど」

「まだ、怒ってる?」

「怒ってませんよ」

怒ってるに決まってるだろう。
じゃなきゃこんなところに来るわけない。


「いまイケブクロにいるんだろ」

……この寒い中探し回ったのか。
あと特定早すぎ。

「さあ、どうだろうね」

「萬屋山田…?」

なんでそこまで特定できるの?
え?スマホにカレログでも入ってる?
こわい。

「乱数という友人がいて、連絡が来た
心当たりのある人物をそこに送り届けたと」

……あの時既に勘づかれていたか。
失敗したなぁ。
探してる「猫」は私だったってことね。

「へぇ、探偵ごっこお疲れ様
じゃあバイバイ」

そう言って私は通話を切ろうとする。
しかし。

「待って、もう一度話を」

その声があまりにも必死で
私は手を止める。

さてどうしたものか。……まあ、いいか。
1度落ち着いて話し合った方が
いいかもしれない。

「なら明日渋谷のハチ公前で待ち合わせましょう」

私がそう言うと、はっ…と安心したような
息遣いが聞こえる。

「……じゃあ、明日の12時に…待ってるから」

最後にそう言って幻太郎との通話は終わる。

「ふぅ…」

通話の切れたスマホを握りしめ、息をつく。
つい約束したけど、気まずいなぁ。

「終わりました?」

「っ!? いつから戻って」

急に背後から声をかけられて振り向くと
三郎と粉まみれの二郎が。
小麦粉…だろうか。

「何見てんだよ」

私の視線に気付いたのか二郎が食ってかかってきた。

「いや、かわいいなって」

「ぐ…」

「こいつ足を滑らせて台所めちゃくちゃにしたんですよ
いち兄が帰ってくる前に掃除しなきゃ
ほら!とっとと風呂に入ってその汚れた体を綺麗にしてこいよ!」

グリグリと二郎の横腹を押す三郎に
二郎も頭にきたのかこめかみに青筋が立つ。
あー、やばそうだから後ろに下がってよ。

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