• テキストサイズ

【R18ヒプマイ】だからと言ってこれはない

第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!





「ちっ…1番上の棚の左にあるだろ!」

「あー?あっ、あったあった!これだなぁ?
うわぁぁぁああああ!?」


ガシャーン!っと
何かが盛大に割れる音がする。
これはやらかした感じだろう。


「あっの…馬鹿!
すみませんちょっと様子を見てきますね」

「あ、はぁ…お構いなく」

台所に走っていく三郎を見送り
ソファーの背にもたれる。

慣れない家のソファーの居心地なんて
こんなもんだ。
物足りないのは隣にアイツがいないからかな。

あーやだやだ、こんな辛気臭いこと考えるなんて柄じゃないね。
なんでもいいから気を紛らわそう。

私は近くにあった文庫本を手に取る。

文庫本っていうより……ラノベだ。
女の人の胸が異様に大きく描かれてきて
キモチワルイ。

別に私が貧乳だから僻んでるとかではなく
Bはありますし。


そのままパラパラとページを捲って読み進めるけどなんだかよく分からない。
どうしてこんな取り柄のない平凡な主人公が
かわいい女の子にモテるのか。


幻太郎の書いた小説の方が私は好きかな。
…って、考えないように読んでたのに。
本はダメだ。

テレビでも見ようか。
人様の家で勝手に申し訳ないけど。

「えー、と、リモコンリモコン…」

リモコンを探そうとざっとテーブルの上に
視線を向けたところでバックの中から淑やかな音楽が流れる。
着信音からして幻太郎から電話をかけられてるみたいだ。

「はぁ……あっ」

めんどくさいから1度バックからスマホを
取り出して着信拒否にしようと画面を開いたところで手を滑らせて通話ボタンを押してしまった。

「有栖?」

と、聞き慣れた声がする。


腹を括るしかないか。

/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp