第1章 締め切り前の原稿に墨汁こぼせ!
まあここで怒ってもアレだし、おそらく相手には
なんの故意も無い。
だから気にすることなくキャリーバッグを
片手に奥へとずいずい進む。
三郎も後から着いてきて、「こちらです」と
居間に通された。
内装は「いかにも」って感じだ。
というかよく分からないDVDだったり
なんかイラストが描かれた本やらが
積まれている。
兄弟のうち誰かがヲタクなんだろう。
適当に座ってくださいと言われたので
適当に服とかが重ねられてるソファーから
邪魔なものを寄せてどっかりと座る。
まあまあな座り心地だ。
「三郎〜〜!茶葉ってどこにあんだ〜〜〜!」
向こう側には台所があるんだろう。
二郎が助けを求める声が聞こえてくる。
自分の家の茶葉の置き場所くらい
把握出来ないのかあのガキは。