第1章 愛しい君は半透明人間
それからというもの、は常にリヴァイの傍らで過ごした。
実体はないのに、リヴァイだけはの身体に触れることができる。
生きている時となんら変わりなく触れ合うことができた。手をつないだり、抱き合ったり、キスをすることすらできた。
といることでリヴァイが衰弱していく、ということもなかった。
「兵長が衰弱していったら、私、完全に悪霊でしたね」
「そうだな」
の言葉に、リヴァイには珍しく唇の端を上げて笑う。
それを見ても、あははと笑ってから、ひと呼吸おいて話し始める。
「自分でも少し…心配だったんです。自分が今”何”なのかということもそうですが、一緒にいることで兵長に何か悪い事が起こってしまったらどうしよう、って…。でも、どうしたらよいのかも分からなかったし…」
話しながら俯いてしまったの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
リヴァイはその涙をそっと指で拭ってやり、指先に感じる温もりを再確認した。
「お前が俺にとって害になる訳ないだろう。…お前は、ずっと俺の側にいればいい。確かに今のお前は存在自体が不思議だが、こうして一緒にいられるんだ。それでいいじゃねぇか」
「…私、一緒にいてもいいんでしょうか?」
「俺はお前といたい。お前は違うのか?」
「…っ!私も、兵長と一緒にいたいです!」
「なら、もう俺から離れるな。お前がいなくなって、俺がどれだけ悲しかったか分かるか?絶望した。もう、巨人の討伐だとかはどうでも良いとすら思った。あんな思いを二度とさせないでくれ」
「…はい」
がこっくり頷くと、リヴァイは「いい子だ」と言っての頭を撫ぜたのだった。