第1章 愛しい君は半透明人間
「リヴァイ、、来たよ~」
ハンジはリヴァイ宅の扉を叩いてみたが、いつものように扉が開かない。
「出かけているのかな?」
彼女は家の裏手へと回り、庭を覗いてみた。
するとそこには椅子に腰掛け眠るリヴァイと、の手を握って立つ若き日のリヴァイの姿があったのだった。
ふと、リヴァイがこちらを向いた。
その顔は、ハンジが今までに見たことのないほど柔らかで、幸福に満ち溢れた顔をしていた。
「もう…行くのかい?」
ハンジは少し悲しいような、嬉しいような気持ちで、若き日のリヴァイに声をかけた。
「あぁ、少し…先に行く。エルヴィン達によろしく伝えてくれ」
ハンジは小さく頷く。
リヴァイは傍らに立つを見た。
「、行くぞ」
「はい…っ」
「お前は、この日まで待っていてくれたのか」
「きっとそうです…、自分でも分からなかったけれど、今ならそうだと、心の底から言えます」
「、愛している」
リヴァイがの身体を強く抱きしめると、ホロホロと二人の身体から光が溢れ出してきて、いつか見に行った花畑に舞う花吹雪のように空に舞い上がると、光の中へと消えていった。
一人残されたハンジは、年老いたリヴァイの亡骸の横に立ち、二人が消えていった空を見上げた。
「さよならは言わないよ、リヴァイ、。またいつか会おう」
目が痛くなるような、真っ青に澄んだ空が広がっていた。
Fin