第1章 愛しい君は半透明人間
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次の日の朝、リヴァイは宿営本部のテント前でミケとばったり鉢合わせた。
スンッ、とミケの鼻が動く。そしてしきりとリヴァイの周辺を嗅いで、不思議そうな顔をした。
「リヴァイ…お前からの匂いがする。昨日まではしなかったぞ?」
ミケには見えていないのだ。今、リヴァイの隣には苦笑いをするの姿があった。
「よ…、お前の姿は俺以外には見えていないようだな」
「そうみたいですね。でもさすがミケさん。姿は見えていなくても、匂いは感じるんですね」
「…実体がないのに、匂いはするものなのか?」
ミケの指摘に、リヴァイとがヒソヒソと話していると、ミケが一層不思議そうな顔をする。
「リヴァイ?」
「…あぁ、悪い。の匂い?気のせいだろ…」
がいなくなってからというもの、リヴァイは塞ぎがちであった。そのため、エルヴィンを始め、周囲からは随分と心配されていた。
そんな状態の時に、「がいる」などと言えば、ついに気が狂ってしまったと思われかねない。
なので、リヴァイははぐらかすことにしたのだった。