第1章 愛しい君は半透明人間
リヴァイは手を伸ばし、の頬を撫でた。
よく見れば、の身体はぼんやりと透き通っていて、向こう側までうっすら透けて見えていた。
それなのに、指先には確かに肌の感触と温かな体温を感じるのだった。
「自分ではこの森から出られないんです。…連れて帰ってくれませんか、壁の中に」
そう言って小首をかしげる様子は生前の姿と全く同じで、リヴァイは鼻の奥にツンとした痛みを感じて思わず目を伏せた。
「…バカヤロウ」
の小柄な身体を引き寄せ、強く抱きしめる。
どうして触れることができるのかなんて今はどうでも良かった。腕の中の身体からは、確かに温もりを感じるのだから。
「連れて帰ってやる。…もう、俺から離れるんじゃねぇぞ」
「…はい」
リヴァイの肩口に顔をうずめ、は悲しそうな笑顔を浮かべたのだった。