第1章 愛しい君は半透明人間
そうやっているうちに、リヴァイはあることに気がついた。徐々にの身体がはっきりと見えてきたのだ。
(これは…)
そのまま数分も抱きしめていると、の身体はすっかりもとの状態に戻ってしまったのだった。
もう身体が透けて見えるようなことはない。
「、もう大丈夫だ。自分の身体を見てみろ」
リヴァイは抱きしめていた腕の力を緩めると、にそう促した。
腕を緩めただけなので、の小柄な身体はいまだリヴァイの腕の中にある。
「あ…元に戻ってる…?どうして…」
「なぜ元に戻ったのかは分からねぇが、…俺と一緒にいれば消えねぇということは分かったな」
「…はい」
リヴァイはじろっ、とを軽く睨んだ。
はしょげたような顔になり、深くうなだれる。
「、なぜ仕事中は離れようなどと言った。俺といるのは嫌か?」
「そ、そんなこと…」
「なら理由を言え」
リヴァイの口調は厳しいが、それは表面上だけのことだ。
現に、リヴァイの手はの髪を優しく撫で、もう片方の手ではその細い腰を引き寄せて離さないでいる。
もともとリヴァイは、意外にもボディータッチによる愛情表現を素直にする。言葉での愛情表現が苦手なせいもあるかもしれない。
それに結婚をしてからは、露骨な愛情表現も躊躇なくするようになり、時には周囲の人間たちを赤面させるほどであった(と言っても、被害者はエルヴィンとミケとハンジの三人に限定されているが)。
リヴァイという男は、冷静なようでいて、実は青い炎のように静かに燃える情熱家だった。