第1章 愛しい君は半透明人間
ヤキモキする気持ちを抱えながらも、リヴァイは仕事だけはガリガリと順調に片付けていった。
そんな調子で小一時間も経った頃だろうか。
「リヴァイさん!リヴァイさん!」
と呼ぶ声が聞こえてきた。その声は僅かに震えていて、まるで泣いているようだ。
「?!」
驚いてリヴァイが部屋の中を見渡すと、入口の扉をスウ、とすり抜けてが入ってきた。
その姿は…
「…っおい、どうしたそれは?!身体が透けてきてるじゃねぇか!!」
リヴァイは慌てての元へと駆け寄った。
の身体はぼんやりと霞みがかったように透けて見えていた。まるで森で出会った頃のような儚さである。
「分かりません…気づいたらこんな風になっていました…指先が、もううっすらとしか見えないほど消えかかっています…」
「……っ!!」
リヴァイは思わずの身体を強く抱きしめる。
「クソッ…このまま消えるんじゃねぇぞ」
はポロポロと静かに涙を流しながらも、華奢な両腕をリヴァイの背中に回した。
リヴァイの心臓は、普段の何倍もの速度で鼓動した。
が消えてしまったらどうしよう。
肉体が死んでもなお一緒に過ごせた日々がこのまま終わってしまうというのか?
絶対にそんなこと認められない、受け入れられない。
だがどうしたらいい?を失わないために、今自分に何ができる?
頭の中をグルグルと思考が巡って、リヴァイは気が狂いそうだった。
腕の中に確かに感じる温もり。それが消えてしまわないようにと、強く強く抱きしめた。