第1章 愛しい君は半透明人間
結婚して良かったのは、の愛情表現がより顕著になったことだった。
付き合っている時からは素直に愛情表現をしてくれる方だったが、控えめな性格ゆえに常に一歩引いているようなところがあった。
それを、結婚してからリヴァイが「俺はお前のものだ」と日々すり込んだおかげで、良い意味で独占欲を持ってくれたのだろう。
付き合っている時に時折感じた遠慮のようなものが、今はすっかりなくなったことがリヴァイは嬉しかった。
だがから抱きついてきたりはするくせに、いまだにリヴァイが抱き寄せると恥ずかしがって逃げる時がある。
まるで猫だ。
嫌がるのを無理に抱きしめていたりすると、キレてしまう。
それで怒って離れていったかと思うと、いつの間にかまた擦り寄って甘えてきたりする。
そんな時リヴァイは、プロポーズの時に自身が言っていた「気まぐれ」という言葉を思い出しておかしくなるのだった。
こんな「気まぐれ」だったら、いくらしてくれても一向に構わない。むしろもっとしてくれて良い。
「今日はほとんど一日、執務室にいると思うが…何かあったらすぐ俺のところに来るんだぞ」
「はいっ」
つくづく思うのだが、自分はに対してだけは砂糖菓子みたいに甘くなってしまう、とリヴァイは自身に対して呆れてしまうのだった。