第1章 愛しい君は半透明人間
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基本的には常にリヴァイの傍らにいる。
仕事中も、自室に帰ってからも。
生きている人間同様に振る舞えるといっても、やはり実体を持たない身であるがゆえに、はっきり言うとリヴァイの側を離れてまですることがないのだ。
訓練も必要ないし、ハンジから依頼される仕事はリヴァイの側で処理すればいい。実はトイレに行く必要もない。
四六時中、それこそ寝ても覚めてもリヴァイと一緒だった。
「リヴァイさん、こんなにいつもまとわりつかれたら、疲れませんか…?」
ある日が、唐突にそう尋ねた。その顔は、何故だか叱られた子犬のようにしょげている。
「…いや?別に疲れたことなんかねぇ」
「本当ですか?」
「急にどうした。むしろ俺は、お前が隣にいてくれた方が安心する」
「リヴァイさん…っ!って、ダメダメ!!リヴァイさん、提案ですが、仕事中は少し離れてみませんか?」
「…何故だ。まさか、俺と一緒にいることが疲れたのか?」
「そっ、そんな、疲れたなんて、そんな事ある訳ありません!!」
「なら、いいじゃねぇか」
「うぅっ…でも、ダメです!リヴァイさん、今日一日だけ。一日だけ試してみませんか?ね?」
「……よく分からんが、そこまで言うならいいだろう」
「ありがとうございます!」
どうにも解せなかったが、が何度も頼むので、ついにリヴァイは折れた。
ぱあっと笑顔を浮かべ、ギュッとがリヴァイに抱きつく。