第1章 愛しい君は半透明人間
そんな姿を見せつけられて、3人は視線をキョロキョロと泳がせた。
すっかり見慣れたとは言え、やはり胸の奥がムズムズするからだ。
「ヒュー、いつまで経ってもアツアツだねぇ」とハンジがはやし立てる脇で、気を取り直してエルヴィンが言う。
「しかしまぁ、あれだな。食事も取れるのだから驚きだ。もはや生きていると言っても語弊はないくらいだろう」
そうなのだ。は生身の人間と同じように食べることも出来る。
エルヴィンの言う通り、行動だけ見れば生きている人間と大差ない。
だが、別に腹が減るから食べる訳ではないのだった。
食べても食べなくてもいい。空腹になることも、満腹になることもない。ただ口の中に食べ物を入れることができる、それだけの事なのだ。
ついでに言えば、入浴することもできるが、この姿になってからは身体が汚れることは無いので、入浴する必要性はない。
だが、リヴァイと共に生活しているから、自然と同じ行動になる。そんな風にして、生きている頃と何ら変わり無い生活をが送ってくれるのを見ることが、リヴァイにとっては何よりの幸せであった。
皆の話す昔話に耳を傾けながら、リヴァイは結婚したばかりの頃の出来事を思い出していた。