第1章 愛しい君は半透明人間
「リヴァーイ!!結婚記念日おめでとう!!」
突如、部屋のドアが蹴破られたかのような勢いで開き、大きな花束を抱えたハンジが飛び込んできた。
その後ろには酒やプレゼントの箱を持ったエルヴィンやミケが続く。
「チッ…おいクソメガネ、てめぇもっと静かに入ってこられねぇのか」
リヴァイは眉間にシワを寄せたが、発せられた言葉とは裏腹に椅子を立って三人を出迎えた。その後ろにも続く。
「皆さん、毎年ありがとうございます」
そう言って並んで立った二人の薬指には、お揃いの銀色のリングが光っていた。
今日はリヴァイがにプロポーズをした日だ。
毎年この日には、の存在を知る唯一の仲間達でお祝いをする。
皆で集まって、酒を飲みながら他愛もない話をするだけの事だったが、それは何よりも楽しい時間だった。
酒が入ると、昔話に花が咲く。
「いやーしかし、不思議だよねぇ。最初にリヴァイが、がいるって言い出した時はどうしようかと思ったけど、今では私たちにもの姿が見えるもんね」
「全くだ。それに、最初の頃よりはっきりと触れられるのだからな」
ハンジとミケが口々に言って、皆がを見る。
酒が苦手なは、エルヴィンが持ってきたケーキを頬張っており、唇の端にクリームが付いていた。
「付いてるぞ」
「あ、ありがとうございます」
隣に座るリヴァイがちょいと指ですくい取ってペロリと舐めると、は頬を赤くして俯いたのだった。
結婚してしばらく経つというのに、相変わらず照れ屋なところは健在だ。