第1章 愛しい君は半透明人間
「…そう、好都合だ。おかげで、コレも問題なく付けられるだろ」
「え?……あ」
一体いつの間にやってのけたのか、の左手の薬指には銀色に輝く指輪がはめられていたのだった。
二人はとっくに街を抜けて、見渡す限りの花畑に到着していた。
この季節には毎年見事に咲き誇る花だ。二人の初デートも、ここだった。
ざっ、と風が吹いて、色とりどりの花びらを舞い上げていく。
「…これからもずっと、俺の側にいてくれ」
スッと膝を折ってひざまずいたリヴァイは、の手を取りキスをした。
照れくさくて、こういったことは少し苦手なリヴァイだったが、今回ばかりは腹を決めている。
口づけた小さな手は白く滑らかで、リヴァイは思わず唇を離すのが惜しくなってしまう。
出来ることなら、いつまででも口づけていたい。そう思った時、ふるふるとその手が僅かに震えていることに気がついた。
見上げれば、両目にいっぱいの涙を浮かべてがこちらを見下ろしていた。