第1章 愛しい君は半透明人間
「ところで、不思議なんだが…」
「何ですか?」
リヴァイはチラリとが着ているワンピースに目をやった。
「服も見えなくなるのか?」
そうなのだ。今、が身につけている服はハンジが持ってきたものであり、確かに彼女の手の中にあるときは目に見えていた。
だが、がそれを着た途端、リヴァイ達以外の人間の目には映らなくなってしまったという訳だ。
「あ、それは私も前から不思議に思っていたんです。だから自分なりに検証してみたんですけど…」
「ほう。それで、どうだったんだ?」
「ただ物を持ったり触れたりしただけでは消えませんが、“身につけた”場合には、私の身体同様に見えなくなってしまうようです。見えなくなるだけで、実体はあるようですが」
そう言われてみるとそうだと、リヴァイは過去の出来事を思い出してみる。
がエルヴィン達に筆談で話しかけた時、彼らにはペンが勝手に動いているように見えたらしい。
の姿がはっきりと見えているリヴァイは、後で教えられるまでそれに気がつかなかった。
「私の身体と一体になるから…という事なんですかね?」
「まぁ理屈は分からんが、都合はいいな。そうじゃなきゃ服が一人歩きしているみてぇに見えちまうからな」
「そうですね。あははは」
ワンピースが一人で動いている図でも想像したのだろう。は子どものように無邪気に笑った。