第1章 愛しい君は半透明人間
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「という事だ。に何か仕事を与えてやってくれ」
「うはwww唐突にやって来たかと思えば。もちろん大歓迎さ!が手伝ってくれるのなら百人力だよ」
巨人研究所を訪れた二人を出迎えたのは、髪をボサボサにして、心なしか異臭を放っているハンジだった。そのメガネは油でテカテカと光っている。
「…てめぇ、最後に風呂に入ったのはいつだ?」
「え…?え~?…あっ、ところでさぁ!さっそくなんだけど、この資料をまとめて欲しいんだ!」
ジロッと睨んでくるリヴァイの視線をサラリと避けて、ハンジは書類の山に駆け寄った。
そうしてニカッと笑って振り向いたが、その先にの姿はない。
「おいハンジ、はこっちだ」
「あっ!そうなんだ!ゴメンゴメン!何せ見えないもんだからさぁ…」
「いえ、分かりにくくてすみませんハンジさん」
「いいんだよぉ~」
その瞬間、三人は顔を見合わせた。
「え?!今の声、かいっ?!!」
「ハンジさん!私の声が聞こえるんですか?!」
「聞こえる!聞こえる!」
「どういうことだ」
ついこの間までは確かに、ハンジには聞こえなかったはずだ。それが今はハッキリと聞こえているらしく、会話も成立している。