第1章 愛しい君は半透明人間
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ミケとハンジには何とかの存在を認めさせたものの、相変わらずそれ以外の人間(エルヴィン含む)にはは認識されないのであった。
姿も見えないし、気配も感じない。
だが不思議なことに、物には触ることが出来た。
それは半透明だった身体がはっきりするにつれて顕著になっていき、初めの頃はすり抜けることができたドアや壁も、今では出来なくなっている。
うっかり物に触れれば、落としたり倒したりもするので、まるで物が勝手に動いたように見えてしまう。
それを誤魔化すのも簡単ではない。リヴァイは調査兵団七不思議が誕生するのを阻止すべく、超人的な身体能力を駆使して暗躍した。
このように、は半透明で実体が無い割には手がかかった。
だが多少の苦労はあっても、それすらもリヴァイは嬉しく感じていた。
どんどんはっきりとしてくる姿に、生身の人間らしい存在感。部屋で一緒に食事を摂っている時などは、余計にそう感じる。
まるで生き返ってそこにいるかのようなの姿を見て、一度はポッカリと大きく開いた胸の穴が、温かいもので少しずつ埋められていくような幸福感を感じるのだった。