第1章 愛しい君は半透明人間
「そもそも、何でリヴァイにはそんなにはっきりと見えるのに、私たちには見えないのさ?」
ハンジの問いに、リヴァイは少し考えるような顔をして腕組みをする。
「……そりゃあ…愛の力だろ」
「ブッホwww!!!愛、愛だって、リヴァイからそんなセリフが聞けるとは思わなかったよwwww」
つばをまき散らしながら盛大に吹き出すハンジ。
エルヴィンとミケもまた、ハンジほどの爆笑ではないものの、腹を抱えて笑っている。
「…何かねぇか」
三人の態度にピクピクと青筋を立てながら、リヴァイが言う。
そんなリヴァイが可愛くて、もつい笑ってしまいそうになるが、そんな事をしたら後が怖い…。絶対お仕置きされるだろうと思って、必死に笑いを堪えて提案した。
「私の声が聞こえないなら、紙に何か書いてみたらどうでしょうか?」
は手近にあった紙にサラサラと文字を書き始めた。
その瞬間、エルヴィン達はぎょっと目を丸くする。
何しろ誰もいないところでペンが動き、紙に文字が浮き上がってきたのだから驚くのも無理はないだろう。
紙にはこう書かれていた。
”エルヴィン団長、ハンジさん、お久しぶりです。久しぶり、と言うのもなんだか変ですが…”
「…!!」
エルヴィンとハンジの頬を汗が伝った。
先ほどの存在を感じたミケですら、実際にこのような場面を見せられて驚きを隠せないでいる。