第1章 愛しい君は半透明人間
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その後、ミケとリヴァイたちは一緒にエルヴィンのもとへと向かった。こうなったら、一気に説明してしまった方がよいと判断したためだ。
団長室には丁度ハンジの姿もあった。また新しい実験の相談に来ていたらしい。
「どうしたリヴァイ。ミケも一緒になって、何かあったのか?」
「エルヴィン、ハンジ、面倒くせぇから一気に説明する。言っとくが、俺は正気だからな」
「うん?」
そう断ってから、リヴァイはエルヴィンとハンジにも、の事を説明した。ミケもフォローに回ってくれる。
「…うーん、何だか現実離れし過ぎていて、にわかには信じられないな…」
「だけどエルヴィン、リヴァイがそんな嘘付くとは思えないんだけど」
「それはそうなんだが…何か実証できるものがないと何とも」
「そうだねぇ。ねぇ、リヴァイ何か無いの?」
エルヴィンもハンジも、リヴァイのことは心底信頼している。
だが、一方で完璧な現実主義者達であるため、目に見えないものをすぐに信じることはできないのだ。
首をかしげている二人を前にして、リヴァイは自分の語彙力の乏しさを今更ながらうらめしく思うのだった。
このリアリスト達を納得させられるだけの上手い言い回しが思いつかない。