第1章 愛しい君は半透明人間
「実は今、俺の隣にがいる。見えないかもしれないが、でも確かにここにいる」
そう言ってリヴァイはの肩を抱き寄せた。
「わ…っ」
突然のことには頬を赤く染め、思わずリヴァイから身を離そうともがいた。まるで、抱かれるのを嫌がる猫のようだ。
「オイオイオイ、待て待て」
それをリヴァイは慣れた手つきでがっちりと押さえ込む。照れ屋のが逃げ出していってしまわないように。
だが、そんなささやかな攻防もやはりミケには見えていない。
「がいる…?リヴァイ、お前…」
「おい、俺は狂ったりなんかしていねぇぞ。至って正気でいる…つもりだ。確かに俺は訳の分からねぇ事を言っているかもしれないが、ミケ、お前だっての匂いを感じているんだろう?」
「…!」
そう問われて、ミケの心は自分の鼻に対する絶対の自信と、リヴァイの不可思議な言葉との間で揺れた。