第1章 愛しい君は半透明人間
だが今は、形がどうあれが側にいるため、すっかり元気を取り戻している。
エルヴィン達は、元気になったリヴァイを見て安堵したのだったが、その理由がイマイチ理解できていなかった。何がそんなに劇的にリヴァイを元気付けたのだろうか、と。
しかしその理由を、リヴァイは言う訳にはいかなかった。
なぜなら、幽霊のような存在になったが側にいる、などと言ったら、それこそ本当に気が狂ってしまったと心配されかねないからだ。強制的に入院させられる可能性すらある。
そう思ったからこそ、リヴァイはのことを今の今まで黙っていた。
だが、人間離れした嗅覚を持つミケには、第六感(やっぱり五感?)で何か感じるものがあるらしい。
(…ものは試しだ)
リヴァイはミケを混乱させないよう細心の注意を払いながら、ゆっくりと話し始めた。
「ミケ、本当にの匂いがするのか?勘違い、ってことはねぇのか?」
リヴァイの言葉に、「心外だ」と言わんばかりにミケはスンスンと鼻を鳴らす。
「俺を誰だと思っているリヴァイ。一度嗅いだ匂いは忘れない。それに、の匂いを間違えるはずがないだろう」
ミケもまたには好意を持って可愛がっていたため、その執着は並大抵のものではない。
だがそれは恋愛感情というよりは、兄が妹を想うような気持ちに近かったのかもしれない。ミケはよくに菓子を買ってやったりして可愛がっていた。
リヴァイとは想いの形が違えども、ミケも確かにを想っていたことに間違いはない。