第1章 愛しい君は半透明人間
「そうですね…何だか自分でも不思議な感じです。最初の頃はもっと身体がフワフワして軽かったのですが、今は…何というか生きていた頃のように身体の感覚をしっかりと感じるんです」
「本当に誰にも見えていないのか?ここまではっきりしていれば、誰かしら見えそうな気もするが」
「うーん…」
そんなやりとりをしながら歩いていると、またもやミケとばったり出会った。
ミケはその大柄な体格とは裏腹に、まるで猫のようにひっそりと歩くところがあったので、気づかぬうちに近くにいたり思わぬところで遭遇することが多いのだ。
「スン…」
ミケのトレードマークとも言える大きな鼻が、何かを探すようにヒクヒクと動く。
「リヴァイ、やはりお前からの匂いがする。…何か形見でも持ち歩いているのか?」
先日の壁外調査の際にも同じ疑問を抱いたからなのか、ミケは訝しげな表情を浮かべていた。
それを見て、リヴァイとはこっそりと顔を見合わせる。
(どうしましょう?ミケさんのあの顔…相当訝しんでますよ)
(あぁ…滅多に見ねぇ顔だ)
が亡くなったとされてからしばらくの間、リヴァイはまるで抜け殻のように憔悴しきっていたため、エルヴィンを始めとしてハンジやミケなど、大勢の仲間達を心配させていた。