第2章 個性の暴走
『ただいま戻った。
根津さん。』
根津…、そう呼ばれた相手は、小型哺乳類の雄英高校の校長先生。
ネズミなのか、熊なのか。それはわからない。
個性は「ハイスペック」
“人間以上の頭脳”という個性が発現した動物。
世界にも例を見ない、唯一無二の存在だ。
私は5年前にオールマイトから助けられた後、この根津校長に引き取られた。
私の両親の知り合いだったらしい。
私にとって雄英高校の先生方は命の恩人だ。
「おかえり!ミコ!おや…、
また個性が暴走したのかい?」
根津さんはいつもなんでもお見通しだ。
でも、必要以上には聞いてこない。
『お恥ずかしながら。でも…、治めてくれた人がいたんです。』
根津さんは珍しそうにきいてきた。
「へぇ!君のその個性、“喰種”をかい?それは誰だい?」
“喰種”…、そういわれた個性は大昔にそういう“人種”がいたらしい。
私は人間は食べたりはしないが、赤黒く触手のような尻尾のようなものを身体から出す。
それぞれ、背中から甲赫、羽赫、鱗赫、尾赫…、というらしい。
それらはひとまとめで赫子というそうだ。
この個性は昔に滅んだとされていた。
それは何故か?
人間には制御が一切できないからだ。
この薬でめちゃくちゃにされた私の身体でも少ししか制御ができない。
それほどの力だ。
『…轟焦凍。轟焦凍といっていました。紅白の頭髪に、オッドアイ…、そして、右に火傷跡のある子でした。』
根津校長はすごくびっくりしていた。
きっと今年推薦入試を受けたことを知っていたのだろう。
そして、私の口から“轟焦凍”という単語がでてきたということにびっくりしているのだろう。
「そうか…、話す前に会ってしまったのだね。
君には頼みたいことがある。」