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夢繰り屋 凛 第六章

第5章 似ている二人。


追い出された私達は、ひとまず、ジュースを買って、
近くにある公園のベンチに座った。

「何で浩二君がここにおるん?」

パニック状態の私やったけど、
浩二君に会えた事が嬉しかった。

「…ご丁寧に、コイツがメール寄こしたんや。」

なんや…呼ばれて来たのか。

「お前も…勉強くらい俺が教えたるやん。
 何でコイツに頼むねん。」

浩二君は、そう言いながら缶コーヒーを飲んでいた。
その姿を翔太君はニヤニヤと見ている。

「あっ、でも。翔太君って、教え方
 めっちゃ上手いねん。よく解ったし。」

…浩二君、なんか怒ってる?
なんなん?この空気…。
えっ?私が悪いん?

「とにかく、相談依頼の無い日は、
 部室で俺が教えたるから。」

浩二君はそう言ってくれるけど…
馬鹿にされそうでヤなんやけど…。

好きやからこそ恥ずかしいんです…。

「え~。俺の凛ちゃんの専属家庭教師って立場は?
 授業料も今からもらうつもりやったんやけど~。」

わ、笑ってる。
…あかん、この人。
まるで浩二君と同じや。
この状況を楽しんでるとしか思われへん。

「…何か…食べに行きますか?先生に奢ります。」

そう言う私に、

「じゃあ、凛ちゃんを食べてもいいですか?」

そう言って、私の飲んでいた紅茶を取って
飲み干した…。

浩二君の目の前で、何て事を言うんでしょうか…
この人は…。

大笑いしている翔太君の横で、
黙り込んでいる浩二君。

「…それ以外でお願いします。」

そうつぶやくだけで精一杯だった。


 
 
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