第5章 似ている二人。
追い出された私達は、ひとまず、ジュースを買って、
近くにある公園のベンチに座った。
「何で浩二君がここにおるん?」
パニック状態の私やったけど、
浩二君に会えた事が嬉しかった。
「…ご丁寧に、コイツがメール寄こしたんや。」
なんや…呼ばれて来たのか。
「お前も…勉強くらい俺が教えたるやん。
何でコイツに頼むねん。」
浩二君は、そう言いながら缶コーヒーを飲んでいた。
その姿を翔太君はニヤニヤと見ている。
「あっ、でも。翔太君って、教え方
めっちゃ上手いねん。よく解ったし。」
…浩二君、なんか怒ってる?
なんなん?この空気…。
えっ?私が悪いん?
「とにかく、相談依頼の無い日は、
部室で俺が教えたるから。」
浩二君はそう言ってくれるけど…
馬鹿にされそうでヤなんやけど…。
好きやからこそ恥ずかしいんです…。
「え~。俺の凛ちゃんの専属家庭教師って立場は?
授業料も今からもらうつもりやったんやけど~。」
わ、笑ってる。
…あかん、この人。
まるで浩二君と同じや。
この状況を楽しんでるとしか思われへん。
「…何か…食べに行きますか?先生に奢ります。」
そう言う私に、
「じゃあ、凛ちゃんを食べてもいいですか?」
そう言って、私の飲んでいた紅茶を取って
飲み干した…。
浩二君の目の前で、何て事を言うんでしょうか…
この人は…。
大笑いしている翔太君の横で、
黙り込んでいる浩二君。
「…それ以外でお願いします。」
そうつぶやくだけで精一杯だった。