第3章 彼。
今日は、夢繰り屋同好会の活動報告書を
名ばかりの顧問に提出する日…。
『夢の中に入って、困り事を解決しています。』
なんて誰も信じてはくれないので、
普通に『色々な相談に乗ってます。』
的な感じで、毎回報告書は提出していた。
それでまかり通ってるんやから、
どれだけ先生も興味ないん?って感じやわ。
いつものように適当に報告書を書き終え、
女の子に囲まれている浩二君に
出しておくからと合図した。
活動報告日は、同好会もお休み。
…ちょうどいいわ。帰って勉強しよう…。
でも、もうすぐ期末テストやのに…まずいなぁ。
「赤点なんか取ったら、来年のお年玉…
没収なんやろなぁ…。」
職員室に向かう廊下で、
心の声が、口から思いっきり出ていた。
「じゃあさ、勉強教えたげるから、
お年玉…一割ちょうだいや~。」
すぐ後ろから聞こえる声にびっくりして
振り返った。
そこには、笑顔で手を出している
翔太君が立っていた。