第2章 人間関係
彼女と彼の馴れ初め3 side凍季也
それから暫くして、エレベーターは凍季也の部屋のある3階に止まった。
「…それじゃあ、な。」
彼がそう言うと、見知らぬ彼女は先程と同じ悪魔の笑顔で凍季也を嗤った。
「何を笑っている?」
彼が訝ると彼女は尚更可笑しそうな顔をして、それには答えず何故か自分もエレベーターを降り、後ろを着いてくる。そして彼の借りた部屋の隣の部屋の前に立つと鍵を取り出しドアを開けた。
「ふふ、これからよろしくね?お隣さんの水鏡さん。」
どうやら彼女の借りている部屋は凍季也の部屋の隣のようだった。
凍季也は別にこの時点では彼女のことをただの少し不思議な後輩だと思っただけで大して気に留めておらず、彼女とはすれ違ったら挨拶するとかその程度のご近所付き合いしかする予定はなかったのだが、彼のこの予定はその日の真夜中には既に狂わされる羽目になっていた。