第3章 ファイアーエムブレム短編・SS
たまらず声をかけた
もちろん、偶然通りかかったようにみせて
『おや、アベル殿。こんなところでどうしたのです?』
「君は、名前、だったね。君こそどうしたんだい」
『いえ、アベル殿が困っているように見えたので。
近衛騎士、王国騎士として・・・でなくても困っていたら支え合うのが戦友(とも)かと』
「はは!それは聞いたことがある言葉だ。誰に聞いた?」
『その口ぶりだと言わなくてもわかると思いますが。ええ、カイン殿です』
「俺が今悩んでいたのはまさにカインのことだ。だが、それを聞いて安心したよ」
彼はとても嬉しそうに
「カインがそれを言うのは信頼している証拠だよ。
俺の知っている限りでは女に言っているのを見たことがない。
ああ、安心してくれ。悪い意味ではないむしろいい意味だよ」
と、言い放ったのだ
最後にカインによろしく頼むとだけ言って後ろ手をひらりとこちらに向けて去って行った
これは。期待してもいいのだろうか。
_____
いつも通り彼女たちと楽しくチョコ作りをした
いや、正確には生まれて初めて彼女たちと同じように誰かのために作ったと言うべきか
ともかく、せっかく作ったのだからには渡すべきだろう
シーダ様やセシル達にも手伝ってもらったのだから
ちらりと見えた赤い大きな影を慌てて追いかけた