第2章 垂れ桜と女の子。(テーマ:桜)
無言の帰り道…には、ならなかった。
それもこれも、この子がずーっと話してるおかげ。
でも、それがちょっと楽しいかもって感じた。
なんでも楽しまなきゃ損ってね!
テニスかっこよかったとか、なんで絆創膏はってるのかとか、他愛もない話を続けていた。
「英二先輩、昨日…」
そんななか切り出された言葉にドキッと胸が高鳴った。
「何してました??」
「…えっと…あ、それがさー、不思議な女の子に会ったんだよねーっ!君とは大違いだったよん。」
平然を装うことができてたかは知らないけど、
知られて困ることでもないから…
ありのままを話すことにした。
「ここで、ですか?」
いつの間にか昨日の垂れ桜のところまで来てた。
小走りでその下に立った後ろ姿は、まさしく昨日の女の子そのもので………
……………
「…………えーっ!?」
「昨日は、華道のお稽古でひどく叱られてしまって…、でも、菊丸先輩を一目見かけて…。よくわからないですけど、私、元気がでてきたんです!」
やっぱり、彼女には桜がとっても似合う。
そう思って、桜を見上げる彼女の後ろから、携帯でこっそり写真を一枚撮った。
「!とりましたね!?」
「完璧パーペキパーフェクトってねん」
携帯の、独特の機械音に振り向くちゃんは、言葉とは裏腹に元気な笑顔を見せてくれた。
今はまだ、好きって思った気持ちは内緒にしておこうっと。
あと、明日大石にありがとうっていわないとね。
おわり。
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