第7章 星に願いを。(テーマ:星)
「…ペルセウス座流星群。きれいでしょ?」
「…、」
「え?」
小さな声でぼそっとつぶやいた言葉が聞き取れず、聞き返しながら英二を見ると、
いつもの太陽みたいな笑顔とはまったく別で、ちょっと大人びた、笑みを浮かべていた。
「っ、…」
急にいつもと違う表情見せるなんて反則。
慌てて顔をそらして星に目をやると、今度ははっきり聞こえた。
「のほうが、きれいだよん。…なんてね!」
「…はいはい。」
聞き流すふり。本当は、とっても嬉しかった。
胸元で手を組んで、そっと目をつぶってお願いをした。
わかってる。そんな乙女チックなこと似合ってないって。
それでも、願わずにはいられなかった。
「おわっちゃったねー。俺、お願い事した!は?」
「別に、なんでもいいでしょ。」
お互いに体を起こして座りなおすと、ぐいっと体をひかれて、英二に抱きしめられてしまった。
「ちょっ、なにしてっ…!!」
さすがに驚いて体を捩らせると、耳に当たる吐息。
「俺のこと、嫌いになった?」
寂しそうな声に、身体が固まる。
嫌いなんて、そんなこと思ってない。
「が話してくれなくなって、すっげー寂しいんだかんね。」
「それは…っ、」
「俺、好きだよ。ずっと一緒にいたいって、星にお願いしといた。」
英二と、同じ気持ち。
なのに、言葉がでない…。
「俺の、彼女になってよ。」
「…やだ、よ…。」
いいよっていいたいのに、英二に私はもったいないよ…。
「けど、彼女(仮)にならなってあげてもいい。」
「えーっ!なにそれー!?」
「英二が、私よりももっともっと好きな人ができたら、彼女(仮)はおしまいね。」
「にゃーんだ。そんなことか。」
はははっと笑う英二。
そして、またぎゅっと抱きしめる腕に力を込めた。
「じゃぁ、だいじょうぶいっ。だって、俺より好きになる人いないから。」
「…、ばぁか。」
英二が隣にいてくれるなら、いつか…、きっといつか願いをかなえられるかもしれないな。
“英二に好きって、素直に言えますように。”
おわり
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