第6章 ぽろり。(テーマ:プール)
「きゃっ、…!!!!」
出口が視界に映ると、口を閉じて衝撃に備えた。
ざぶん、と水に沈んだ衝撃なのか、それまでの衝撃なのか、私は水着に違和感を感じ、すぐさま胸元を押さえた。
胸元を押さえたまま立ち上がると、するりと、首にかかっていたはずの紐が私の視界に入ってきた。
…お?
……これは?
………まさか?
「ちゃん、どないしたん?」
ぎゅっと胸元を押さえてうつむいたままの私を心配してくれたようで、声をかけてくれた忍足さん。
そして、他のメンバーも近寄ってきた。
そんななか、英二先輩が一番にきて私を抱きしめてくれた。
「みんな、みちゃダメ―!!」
近づいてきた桃、向日さん、不二先輩、忍足さんにそう伝える英二先輩。
こっそり英二先輩の顔を見てみると、その顔はタコのように真っ赤だった。
「ありがとうございます…。」
「なんやそういうことかいな。…菊丸、ちょっとくらいサービスしてくれへん?」
「僕も、サービスしてほしいところだけど、可愛い後輩のためだからね。ちょっとタオル取ってくるよ。」
英二先輩を見て察した忍足さんと不二先輩。
いっぽう、桃と向日さんは…
「どういうことっスか?」
「わかんねー。」
…まぁ、鈍感なこと。
不二先輩がタオルを取りに行っている間は、ずっと菊丸先輩が抱きしめてくれていた。
いつもは服に隠れているたくましい筋肉が私の目の前にあって、ある意味くらくらする…。