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菊丸英二誕生祭:短編集

第4章 これからの日々。(テーマ:入学式)


「やっほー。さっきぶり!」

「あっ…、英二先輩!」

後ろから私の両肩に腕を乗せていた。
私の背中に密着している部分がだんだんと熱を持っていく。

「ちーっす。」

リョーマくんが頭を下げると、だるそうに私の肩にかかっていた腕にぎゅっと力が入った。
抱きしめられて、る…!?

「君、一年生?」

朝のような、あのまぶしい笑顔でリョーマくんに問いかけている英二先輩。
私は、隠しきれない赤くなった顔を、どうしようかと思っているところで…。
まぁ…、どうしようもないんだけれど…。

「そうっすけど…。」

「部室あっち。手塚が来る前に準備おわらした方がいいとおもうよ。」

「どもっす。」

一言、お礼を告げて何事もなかったように部室に向かって行った。

コートに人はちらちらいるけれど、コート外には、私と英二先輩の二人。
コート内の人は、特に私たちを気にしている様子はなかった。

「ちゃんが、あの一年にとられちゃうかと思った。」

「せん、ぱいっ…?」

さらにぎゅっと力が籠められる腕に、男の人を感じて、ドキドキが止まらない。

「朝握った手が、ちっちゃい手だなーって思って、忘れられなくなっちゃった。」

「あのっ…、」

肩の重みが消えると、急に目の前に英二先輩が現れた。
あぁ、私、この笑顔がすごく好きだなぁ。

「俺、君のこと好きになっちゃったにゃ!」

「…あっ、ちょっと!!」

そして、その一言を言うと、コートに走って行ってしまった。
私は、急なことに驚いてぼーっとその背中を見つめていた。
ほんの数秒後、はっとしてコートのフェンスに手をかけて叫んだ。

「英二先輩!…、私もです!!」

振り返って、一瞬だけ驚いた表情を見せたけど、
あの私の大好きな笑顔を見せて、私にピースを向けた。

入学式初日、初めての彼氏ができたようです。
その日は最後まで部活を見学して、手をつないで家まで送ってもらった。

あまーい学校生活の始まりです。
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