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菊丸英二誕生祭:短編集

第4章 これからの日々。(テーマ:入学式)


おまけ。

好きって伝えることが、こんなにドキドキすることだと思わなかったにゃーっ、
返事を聞くことが怖くて、言い逃げをしてしまった。

コートに戻ってぐっとドリンクを飲むと、後ろから不二が肩をぽんっとたたいた。
「やぁ英二。あの子、一年生?」

「うんにゃっ」

「へぇ、やるね。」

うなずいて見せると、感心したようにいう不二。
かしゃん、という音とともに、名前を呼ばれる。

驚いて振り向くと、あの子が言った。
俺が欲しかった言葉。

「私もです!!」

両想いって、こんなにうれしいものだと思わなかった。
ずっとテニス一筋で、誰かを好きになるなんてことなかったけど、
幸せだにゃー。

俺は、彼女に向けてピースをした。

「英二、おめでとう。」

「…ちぇ。」

不二のおめでとうの言葉の次には、舌打ちが聞こえた。
不二の隣にはさっきのちゃんの隣にいた一年。

「…?ちぇって、どういうこと?」

舌打ちの意味が分からずに首をかしげると、一年は不敵な笑みを見せた。

「結構かわいい子だなって思ってたんスよね。まぁ、時間はまだまだあるんで。」

そういって俺に背中を向けた。
かわいい子って、誰が…?
…にゃ!?もしかして…、

「だめだめ!あげないかんな!!おちびー!!!!」

意味を理解した俺は、まだ名前も知らない一年をおちび、と呼んでいた。
あんなおちびちゃんにちゃんはあげない!!

おわり。
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