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「消えやらぬ」「君が行く」

第1章 蛍


身請け話を承諾し、私が吉原を出たのは、それから半月後だった。
「外に出て、まずはどこに行きたい?」
旦那様に聞かれ、私は蛍のいる川を願った。
浴衣に着替え、川辺へ向かう途中、真選組の隊士二人を見かけた。
吉原で見かけた記憶は無いが、どちらも伊東様と同じ白いスカーフを巻いているから、役職付きなのだろう。
一人は背が高く、煙草を咥えていて、もう一人はまだあどけなさの残る、少年とも呼べる男だった。
すれ違った時、煙草に混じり、微かに線香の匂いがした。
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